物 語

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小説はあまり読まなかったのに、中学生の頃から短編小説を書いていました。小説といってもショートショートといった方が近いでしょうか。その頃のはノートに手書きで、ある友人から「頂戴」と言われて、そのままあげてしまったので手元には残っていません。その後、ぽつりぽつりと書いて手元に残っているものを紹介します。

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液体窒素の想い出

 高校3年生、受験勉強真っ盛りの秋のある日、思いつきで一気呵成に書き上げたもの。現存する最古の自作です。欧文を翻訳した文章の、明確であるようでいて意味がよくわからない文章というものに惹かれていたのでした。政治家で「言語明瞭、意味不明」と揶揄された人がいましたけれど、スタイルとしては、それに近いかもしれません。「液体窒素」というのは、高校生の自分にとって、「非常に冷たいもの」の最右翼のように思っていたので題に使ったのですが、大学に入って実験を少し知ると液体窒素など、冷却ものなかでは全然冷たいものに入らないことを知り、やはり勝手なイマジネーションというものは現実にかなわないものだと思ったのでした。

ヘプタパラバビロンノッホ

 この作品は、後輩が主宰する同人誌に連載していました(その同人誌はよくあるように自然消滅してしまいました)。題は「バビロンの七元性」というほどの意味です。私の元ネタはロバート・フリップが組んだバンド、リーグ・オブ・ジェントルマンのアルバムにあった「Heptaparapashinokh」だったのですけど、フリップ自身、これをグルジエフの『ベルゼバブの孫への話』に出てくる用語から取っていたことを後で知って笑ってしまった。フリップの曲はグルジエフのことを知る前から聴いていたけれど、明確に意識するようになったのは、フリップがグルジエフの弟子であったJ・G・ベネットの学園に入学したという話を読んだからだったのでした。

 ちなみに「ヘプタパラバビロンノッホ」と題をつけたときは、元ネタの「Heptaparapashinokh」の発音を知らなかったのですが、語尾は「ノッホ」ではなくて、「ノク」のようです。要するに私のつけた題は間違いなのですが、発表したときのままにしておきます。なんとなく愛着があるので。

 書き始めたきっかけは、ほぼ同じ時期にP・K・ディックの『ヴァリス』と夢野久作の『ドグラ・マグラ』を読み、それに影響を受けたことでした。私見では、この二つの作品はよく似た構造を持っているが一点だけ決定的に違う。その一点とは単純に言うと「外部としての神」による「救い」というものがありえるか、ありえないかということになります。「ヴァリス」には神がありえるが、「ドグラ・マグラ」には神がありえない。

 私と面識がない人でも気づく人は一発で気づきましたが、この作品の中に書かれたことはほとんど事実であり、そうした意味では実は私小説なのです。この妙ちきりんな日常の中で「救い」はどうありえるのか、ということを整理しようと思って書いていたのですが、執筆開始当初も、今の自分にもそれがいかなる形をとるのか解らないので、いまだに未完です。虚脱したくなるような日常はたくさんあるんですけどね(それは「日常の断片」の方をお読み下さい)。このサイト全体が「ヘプタパラバビロンノッホ」の続編と言っていいのかもしれません。

天使論

 「ヘプタパラバビロンノッホ」を連載していた同人誌には、「課題作文」というものがあって、同じお題でみんながそれぞれの作品を提出するという催しがありまして、これはそれの「飾る」というお題で書いたものです。ミッションのイメージは中年期のアントナン・アルトーです。あんな底のない瞳を私はそれまで他に見たことがありませんでした。

あなたと歩いた土手

 これも課題作文で、お題は「私の東京」でした(これが掲載されないまま自然消滅してしまったのですけどね)。ど演歌の世界を書こうと思っていました。多摩川の土手は私の原風景です。

飽きてしまった悲しみに-1   飽きてしまった悲しみに-2

 これも課題作文です。お題は「飽きる」。中身は文章なのですが、切り貼りしたものなので、画像として貼り込んであります。大型ディスプレイのない方は読むのが大変です。あるいは画像をダウンロードしてプリントアウトして読むのが良いかもしれません。神秘と冗談の狭間で人は皮肉や自棄にならずにいれるのか、というのが一応私の念頭にあったことです。読んで、そんなことを読者が思うかどうかよく解りませんが。

犬早物語

 筒井康隆の『驚愕の曠野』にあからさまに影響されて書いたもの。『驚愕の曠野』を読んだときは、年がいもなく泣きました。まるでどこか別世界のことを書いているようで、これこそ私たちの世界ではないか、と思えたので。
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